【リスニング学習 応用編】通訳者の訓練で使用される“Active Listening”とは?

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英語の勉強法

学習記事の編集から長らく離れておりました、シドニーオフィスサポートスタッフのYukiです( ˘ω˘ )。私事ではありますが、この6月に3年間通ったとあるシドニーの大学の言語学部を卒業することができ、7月にかねてからの目標であった大学院の通訳・翻訳研究学部に進学することができました。言葉をその構造から論理的に分析する言語学的な視点からだけでなく、今後は「言葉は生きている」ということもふまえ、言葉が異なる文脈や場面でどのように使用されるかということにも着目して今後もこの留学マガジンのウェブサイトにて皆さんの英語学習に役立てるような情報をたくさん発信していきたいと思います☆☆
今回のトピックはちょうど1年前に取り上げた『リスニング学習方法』の応用編です。応用編といっても使用する教材が難しいという話ではなく、学習メソッドがShadowing・Dictationといった基本的なリスニング学習法と違うことによる難しさなので、英語学習初心者の方にも是非普段の学習に取り入れて頂きたい学習方法です。

↓前回のリスニング特集記事をまだ読んでいない方はこちらのリンクからどうぞ!↓
【苦手から得意分野へ!英語が苦手でもできるリスニングおすすめ勉強法】 
https://ryugakumagazine.com/english/8302/

Active Listeningとは

通訳士の卵が逐次通訳(話し手が一区切り話したことを後から訳す方法)・同時通訳(話し手が話していることを同時に訳す方法)を行うために必要なスキルを磨くために使用するリスニング学習方法。

Shadowing/Dictationとの違い

上記太字でわかりやすく強調した部分を要約すると、
• 流れる音声を聞きながら正しく復唱、又は書き取る⇒Shadowing/Dictation
• 流れる音声を一定量聞き、正しく記憶して復唱⇒Active Listening

Shadowing/Dictationは流れる英語の音声の速さに耳が慣れていない場合や、知らない単語やフレーズが多いと難しさを感じることはあります。しかし、聞いたものをすぐに繰り返して言ったり書いたりすることは、Active Listeningが必要とするほどの記憶力を必要としません。
通訳士にとって記憶力は翻訳の正確さと通訳士への信頼、通訳士自身の自信をつけるために必要な能力であるため、Active Listeningは最も実践に近い学習方法といえるでしょう。英語を問題なく使いこなせるようになりたい方、日常生活で困ることがないくらいのレベルでいいという方にとっては要求される能力が高いため、必要不可欠な学習方法ではないと思います。しかし、記憶力は言語学習において、文法のルールや前置詞の様々な使用方法をなんなく理解し使いこなすための初期段階で必要な能力です。他の英語学習者と少しでも差をつけたい方、向上心のある方、リスニング能力にさらに磨きをかけたい方には長期的に効果の見込める学習方法であることは間違いありません。

Active Listeningの学習方法

1. 使用する音声を選ぶ

リスニング学習は、例えばTOEICやIELTSなど、特定のテストのスコアアップを図るためであればそれぞれテストの過去問のCDを使用することをおすすめしますが、単にリスニング基礎能力を上げることが目的である場合は使用する音源のジャンルは特に問いません。ただ、ジャンルによって難易度をある程度絞ることができるため、用途と自分の目的に合わせて無理のないレベルから始めましょう。

【初級】 童話など子供向けの音源

• British Council – Learn English Kids: Short Stories(http://learnenglishkids.britishcouncil.org/en/short-stories
イギリスの組織が運営する、国際的な教育を目的としたウェブサイト。ジャックと豆の木など世界の童話からニュートンといった著名人の物語の短編ビデオを読み書きを始めたばかりの子供を対象として提供している。スピードはゆっくりではあるが、字幕もついているためリスニングが苦手な人にはおすすめの音源。
また、British Councilは子供向けの音源の他に、IELTSの学習に関するコンテンツも豊富に取り揃えているので、リスニングだけでなく英語学習全般に役立つウェブサイトでもある。

【中級~上級】 日常会話のスピードの音源

• TED Talks(https://www.ted.com/talks
“ideas worth spreading(広めるにふさわしいアイデア)”をテーマに、起業家や科学者、発明家など様々なジャンルで成功を収めた人や功績をあげた人々の成功までのプロセスや、失敗から得られた教訓、人々に伝えたいことなどを5-20分をいう限られた時間の中でプレゼン形式で発表するスピーチイベント。幅広いジャンルが頻繁に更新されるため、興味のあるジャンルを選べば退屈することなく聞きとおすことができる。最大の魅力は大衆向けのスピーチであることから、ネイティヴスピーカーがはっきりとわかりやすく話す英語を聞きながら、世界の情勢やアカデミックな内容をリスニング学習を通して学ぶことが出来ること。動画に字幕がついているほか、トランスクリプト(スピーチを文字に起こしたもの)も見ることができる。

【上級】 ニュース

• SBS World News (http://www.sbs.com.au/news/
オーストラリア国内だけでなく、世界のニュースや情勢を取り扱うオーストラリアのテレビ番組のオンライン放送。30秒ほどのショートニュースから、1時間弱のその日のニュースが毎日更新されるため、リスニング能力だけでなく世界の時事問題を学ぶこともできる。主に政治を多く取り扱うため、聞きなれない単語や言い回しの難しいフレーズなどが多く使われているため、Active Listeningの教材として使用するにはかなり難易度が高いといえる。

• NHK: ニュースで英会話(https://cgi2.nhk.or.jp/e-news/index.cgi)※無料会員登録が必要
日本のテレビ局NHKが運営する英語学習用のニュースサイト。会員登録(有料と無料があるが、無料で良い。)をすることでニュース音源をラジオ又は動画で見ることが出来る。トランスクリプトを英語・日本語のどちらでも確認することができるので、初めて耳にする単語の意味を日本語でも確認することができる。また、英文トランスクリプト内で線が引かれている単語にマウスをかざすとその場で日本語の意味を見ることができるので、単語学習にも効果的。

2. 覚えきれる長さから字幕やトランスクリプトを見ずに始める

必ず字幕やトランスクリプトを見ずに行うこと

『耳で聴きとった文章を、聞き終わった後に正しく復唱すること』がActive Listeningの最大のねらいなのであるにも関わらず、音源を聞きながら、もしくは聞く前に文章を見てしまうと少なからず耳で聞かずに目で見て覚えてしまうため。

覚えきれる長さから始めること

一節ずつ、一文ずつ・・・など、必ず自分が正しく覚えて復唱できる最低限の長さで音源を一時停止し復唱を行う。初めから長い文章を覚えようとすることは無理に等しく、またActive Listeningでは複数形や冠詞、前置詞など細かく聞き取ることが難しい部分の正確さも問う学習法なので確実に聞き取れて完璧に繰り返すことができるまでは無理をせず短いユニットで区切ってよい。

慣れてきたらどんどん区切る長さを長くしていくこと

区切る長さを長くしていくなど変化を加えると、今まで完璧に覚えてられていた部分も曖昧になってしまったり自身がなくなってしまったりするので、どんどんユニットを伸ばして記憶の幅も増やしていく。

最終的に全ての文章を完璧に記憶できるようにすること

おわりに

リスニングは学習した分だけ結果に反映される分野です。普段の生活で英語をわかったふりして聞き流してしまったり、文章の中の複数形のsや冠詞aとtheの違いなどを聞き分けられないことなどは文章を正しく理解するということにおいて大きな障害となります。すぐに効果が得られないのも一般的に英語学習者がリスニング学習にあまり乗り気にならない原因かもしれませんが、長期的なトレーニングを諦めることなく継続すれば確実に力となるので、根気よく学習に取り組み、本気でリスニング能力を向上させたい方はActive Listeningを是非今後の学習に取り入れてみて下さい。

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