「イギリス英語とアメリカ英語って違うんですよね?」というご質問をよくいただきます。答えは‘YES’。発音や単語はもちろん、日付の書きかたや文法まで異なるのです。
また、これは必ずしもそうとは限らないのですが、アメリカでイギリス英語を喋ると、アメリカ人からは「こいつイケてないなぁ」と思われたり、イギリスでアメリカ英語を喋ると、イギリス人からは「うわ、なんかちょっとガサツだわ」などと思われたりすることも。
もし、英語を国や相手によって自由自在に使い分けられたら、かっこいいですよね。せっかく英語を勉強してきたのに、「イギリス英語が聞き取れない!」といった目にあうのも悔しいでしょう。
そこで今回は、アメリカ、カナダ、オーストラリアの3か国に留学経験のある留学カウンセラー・武政が、「知っていると一目置かれる、イギリス英語とアメリカ英語の5つの違い」をご紹介させていただきます。
以前ご紹介させていただいた「中学英語を1記事でおさらい! 必ずおさえておきたい基本文法10選」を参考にしていただきながらご覧いただくと、よりわかりやすいかと思います。
イギリス英語とアメリカ英語の5つの違い
―――――――――――――――――――――――――――――
1. 文法
2. 単語
3. スペル
4. 発音
5. 日付
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1. イギリス英語とアメリカ英語の「文法」の違い
決して「間違い」ではないものの、イギリス英語にはイギリス式の文法が、アメリカ英語にはアメリカ式の文法があるので、覚えておくとよいでしょう。
イギリス人は現在完了形が大好き!?
現在完了形とは、過去に起きたことの効果が現在にも続いていることを伝えるときに用いる文法(時制)です。
例えば、「携帯電話を忘れてしまったので貸してほしい」と頼みたいときは、
イギリス英語: I have forgotten my mobile phone. Could I use yours?
アメリカ英語: I forgot my mobile phone. Could I use yours?
となり、イギリス英語では現在完了形が使われます。
「携帯を忘れた」という過去の影響が現時点まで続いているからです。一方、アメリカ英語では現在完了形だけではなく、過去形を使うこともできます。
したがって、“yet”(まだ)、”already”(すでに)、”just”(ちょうど)などの副詞も、イギリス英語だと現在完了形とセットで使いますが、アメリカ英語だと過去形とセットで使うことも可能です。
例えば、下記のようになります。
彼はちょうど帰りました。
イギリス英語: He has just left here.
アメリカ英語: He just left here.
私は、すでに夕食をすませました。
イギリス英語: I have already had dinner.
アメリカ英語: I already haddinner.
彼女はまだ宿題を終えていません。
イギリス英語: She hasn’t finished her homework yet.
アメリカ英語: She didn’t finish her homework yet.
調子はどう?
イギリス英語:Hi, how have you been?
アメリカ英語:Hi, how are you?
ペン、持ってる?
イギリス英語:Have you got a pen?
アメリカ英語:Do you have a pen?
ね? 「もうっ! どんだけ現在完了形が好きなんだよ!」とイギリス英語に突っ込みたくなりませんか?
アメリカ人は効率的!?「複数」「単数」の違い
Government(政府)、Family(家族)、Team(チーム)、Community(コミュニティ)などの集合体をあらわす集合名詞について、イギリス英語とアメリカ英語とでは捉え方が異なります。
・イギリス英語:単数形・複数形、どちらもある
・アメリカ英語:原則として単数形のみ
例えば、「私の家族はうまくいっています」と言いたいときにイギリス英語では、
イギリス英語:My family is/are going on well.
と、単数形と捉えて‘is’を使っても、複数形と捉えて‘are’を使ってもOKです。
一方のアメリカ英語では、
アメリカ英語:My family is going on well.
と、原則的に単数形と捉えて、‘is’のみを使います。
私の主観ですが、集合名詞はそもそも大勢を「一つの集合体」として捉えているので、単数形として捉えたほうが自然に感じます。単純に、選択肢が複数あると迷うので「統一してほしいだけ」という気持ちもありますが、ここはアメリカ式に一票を入れたいですね。
付加疑問文をよく使うイギリス人は寂しがり屋?
イギリス人は、付加疑問文をよく使います。「〜だよね?」と、相手方に同意を求めるフレーズを最後に付け加えた表現ですね。
通常の文:She is cute.(彼女はかわいい)
付加疑問文:She is cute, isn’t she?(彼女はかわいいよね)
アメリカ英語でも付加疑問文は使われますが、イギリス英語ほど頻繁ではありません。また、使ったとしても “~, huh?” や “~, right?” などを使うことが多く、いわゆる付加疑問文とは異なります。
相手方に同意を求めないと気が済まないイギリス人は、もしかしたらアメリカ人よりも寂しがり屋が多いのかもしれませんね。
2. イギリス英語とアメリカ英語の「単語」の違い
イギリス人とアメリカ人がショッピングへ行くことになりました。前日に彼女たちは、3階建てのショッピングモールにて「12時にファーストフロア(the first floor)で待ち合わせね」と約束。ところが、12時になってもイギリス人は1階に姿を現しません。いったい、何が起きたのでしょうか……。
日本では「ファーストフロア」と言われると1階を想像するかと思います。これはアメリカでも同様です。しかし、イギリスでは1階を”Ground floor(グランドフロア)”と呼び、”First floor”は2階を指します。
ほかにもどのような単語の違いがあるのかを見ていきましょう。
イギリス英語とアメリカ英語の主な単語の違いリスト
日本語 | イギリス英語 | アメリカ英語 | 注意点 |
---|---|---|---|
エレベーター | lift | elevator | |
ショッピングセンター | shopping centre | (shopping) mall | |
市街地 | city centre | downtown | |
地下鉄 | underground, tube | subway | イギリス英語では、subwayは「地下通路」という意味に。 |
薬局 | pharmacy | drug store | |
薬剤師 | chemist | pharmacist | |
店 | shop | store | |
庭 | garden | yard | |
アパート | flat | apartment | |
サッカー | football | soccer | |
秋 | autumn | fall | |
消しゴム | rubber | eraser | |
シャンプー | hairwash | shampoo | |
ズボン | trousers | pants | イギリス英語で pants は「下着のパンツ」という意味に。 |
セーター | jumper | sweater | |
洗濯物 | washing | laundry | |
映画 | film | movie | |
名字 | surname | last name | |
時刻表/時間割 | timetable | schedule | |
郵便 | post | ||
祝日 | bank holiday | public holiday | |
(仕事の)休憩 | break | recess | |
ナス | aubergine | eggplant | |
フライドポテト | chips | french fries | |
ズッキーニ | courgette | zucchini |
イギリスで、ナスとズッキーニを買いにスーパーへ行ったとき、 “Where can I find eggplants and zucchinis?”と店員さんに聞いてしまうと、もはやまったく通じなくなってしまいます。今回リストアップしたものはすべて生活する上で抑えておいたほうがいい最低限の単語なので、ぜひ違いを覚えてみてくださいね。
3. イギリス英語とアメリカ英語の「スペル」の違い
イギリス英語とアメリカ英語ではスペルが微妙に違います。
語尾の -er, -re の違い
日本語 | イギリス英語 | アメリカ英語 |
---|---|---|
中心 | centre | center |
メートル | metre | meter |
劇場 | theatre | theater |
繊維 | fibre | fiber |
語尾の -ze, -se の違い
日本語 | イギリス英語 | アメリカ英語 |
---|---|---|
英語認識する | realise | realize |
組織する | organise | organize |
見分ける | recognise | recognize |
宣伝する | advertise | advertize |
※イギリスでも-zeを使うこともあります。
“エル (L)” の数の違い
日本語 | イギリス英語 | アメリカ英語 |
---|---|---|
英語旅行する | travelled | traveled |
キャンセルする | cancelled | canceled |
カウンセリングする | counselling | counseling |
“u” が入るか入らないか
日本語 | イギリス英語 | アメリカ英語 |
---|---|---|
色 | colour | color |
最もお気に入りの | favourite | favorite |
風味・味 | flavour | flavor |
隣人 | neighbour | neighbor |
港 | harbour | harbor |
ただ、実はアメリカ人がイギリス英語の綴りを使うこともありますし、その逆もあります。
たとえば、生粋のアメリカ人の友人が、アメリカ英語では”color”のところ、わざとイギリス英語の “colour”の綴りを使っていました。「なぜイギリス綴りを使うのか」と理由を聞いたところ、「よりカラフルで外国っぽい感じがするから」という返答が。ネイティブにはネイティブにしかわからない「感覚」があるのでしょうね。
4. イギリス英語とアメリカ英語の「発音」の違い
イギリス英語とアメリカ英語の違いをつかむ上で大きなポイントとなるのが「R」と「T」の発音です。
イギリス英語では、母音の後の「R」は発音しません。また、アメリカ英語では、「T」をあまり強く発音しないことが多いです。カタカナで見るよりも、直接聞いてみたほうがわかりやすいかと思うので、それぞれの特徴を動画でチェックしてみましょう。
他にもイギリス英語とアメリカ英語の発音の違いで有名なのは、 “can not”を短縮した”can’t”の発音です。カタカナで表すと、下記のようになります。
イギリス英語:カン
アメリカ英語:キャント
日本の中学校や高校では、ほとんどがアメリカ式の発音を学んでいるため、”I can’t“を「アイカン」と発音するのは、やや違和感を覚えることでしょう。しかし、慣れてしまうと、‘can’なのか‘can’t’なのかがはっきりとわかるイギリス式の発音のほうが、聞き取りやすく感じてきますよ。
5. イギリス英語とアメリカ英語の「日付」の違い
英語の日付の書き方が、日本語のものと異なるのは皆さんもご存知ですよね。
ですが、英語のなかでも、アメリカ式とイギリス式で日付の書きかたが異なるのは知っていましたか。アメリカ式では「月」が最初に来ますが、イギリス式では「日」が一番前に来ます。
アメリカ英語:2015年9月1日 → 9/1/2015(月/日/年)
イギリス英語:2015年9月1日 → 1/9/2015(日/月/年)
たまにどっちがどっちかわからなくなってしまうので、これを機に覚えておきましょう!
さいごに
私たち日本人は、アメリカ英語を中心に学んでいますが、グローバル社会で生きていくためには、「アメリカ英語しかわからない」という言い訳は通用しません。イギリス英語を含め、さまざまな英語の発音や単語も学び、様々なパターンの英語が聞き取れるようになるべきともいえるのかもしれません。英語は一つではないのです。
どの国へ留学すれば、様々なシーンで通用する幅の広い英語を習得できるのか。気になる方は、お気軽にワールドアベニューまでお問い合わせください。
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