【引用元:The Sydney Morning Herald 05/12/2016 12.15 am】
http://www.smh.com.au/business/workplace-relations/employers-are-underpaying-24m-workers-superannuation-report-20161202-gt2wtl.html
【概要】
オーストラリア税務局、及びに統計局の調査によると、現在オーストラリアで被雇用者として仕事をしている人々のおよそ30%(およそ240万人)が悪質な雇い主によって年金を積み立てられておらず、その未払いの金額は1年で約3002億円(豪ドルで$3.6 billion)にまで及ぶという事実が発覚した。さらにIndustry Super Australiaが新たに発表した統計によると、およそ240万人もの被雇用者が“実は積み立てられていない”とされている年金(4ヵ月あたり)は13万円(豪ドルで$1489)にまでのぼるそう。
ここで、「何で雇用者が従業員の年金を積み立てなければならないの?」「そもそも年金って自分で積み立てるものじゃないの?」といった疑問を抱いた方も少なくないはず。そもそも日本の年金制度上、日本に住む20-60歳の人々は自分が自分のために年金を積み立てますよね。しかし、オーストラリアの年金制度は日本のものとは全く異なります。今回SMHで取り上げられたこの衝撃的なニュースをふまえ、オーストラリアの年金制度の基本情報についていま一度おさらいしておきましょう。
【オーストラリアにおける年金(Superannuation)制度について】
●従業員の年金の積立は会社が必ず行わなければならない。
会社は、18歳以上で月に$450(税込み)以上稼ぐ従業員、あるいは18歳未満でも月に$450(税込み)以上稼ぎ、週に30時間以上働いている従業員に対して、給料の9.5%以上の金額を年金の積立金として積立て専用の口座へ支払わなければなりません。従って、オーストラリアで働く人は全員それぞれの条件に合った割合の税金を納めなければいけないという義務だけでなく、年金を雇用者又は会社に積み立てられるべき、という義務があるのです。
●一つの職場での就業開始から28日以内に年金積み立て口座は開設されなければならない。
オーストラリアでは日本同様に銀行、証券会社、保険会社などの様々な会社が個人向けの年金口座を紹介しています。自分で複数の会社のプランを見比べながら自分の条件に合うものを選んで口座を開設することもできますし、働く会社が特定の会社の年金口座を従業員に開設することを勧める場合もあります。どちらの場合でも必ず働き始めた日から28日以内に年金口座を開設することが原則として求められています。
【徹底した自己管理が重要!】
第三者が年金を積み立ててくれるなんて少し楽なように感じてしまうかもしれませんが、今回のニュースで本当に積み立てられているのか、いくら積み立てられているのかを自分で確認しない人が多いということ、そして実際に積み立てを行っていない悪質な会社が多いということが明るみに出ました。年金口座を紹介している会社の多くはそれぞれ専用ウェブサイトで個人情報を登録できるようにし、ログインすることによって口座内に積み立てられている金額や、入金履歴などが確認できるサービスを提供しているので、誰でも簡単に口座情報を照会できるようになっています。なので、毎回の給料日もしくは自分で2ヵ月、4ヵ月に1回など自分で決めて定期的に専用ページにログインして積み立て状況などを確認するようにして下さい。万が一積み立てられてはいるけどその金額が少なすぎる、または口座は開設されているのに全く積み立てられていないなどということがあった場合は必ず雇用主に報告をし、必ず正しい金額で積み立てを行ってもらうようにして下さい。
【補足:永住を目的としない一時的な滞在者が積み立てている年金は将来どうなるの?】
短期でも長期でも留学目的でオーストラリアを訪れる人はたくさんいて、もちろん働いている人も多いと思います。ということは年金を少なからず会社から積み立ててもらっているということ。では、そんな人たちが将来自分の国に帰るとなった時、積み立てていた年金はどうなるのでしょうか?
実は、永住ビザや市民権などオーストラリアに永久に生活できる権利を持っていない限り、それまで積み立てていた年金を帰国後に払い戻してもらうことが可能なのです!だとすると、やはりオーストラリアで生活している間にきちんと年金の積み立て状況を確認しておくことがマストですね。
【おわりに】
オーストラリアで働いていると、“スーパー”と耳にすることはよくあるけど、その内容やオーストラリアの年金制度に関する基礎知識を知らない人の方が多いはず。SMHが取り上げたニュースはまさに「知らなかった」という人々の多さと未払いの金額の大きさを浮き彫りにしたものではないのでしょうか。
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