日常生活で、外国人と会話をする機会はありますか?
日本に住む外国人は、230万人です(2016年6月末)。その前の調査は、223万人(2015年12月末)と、半年で7万人も増えています。(法務省ホームページ、在留外国人統計(旧外国人統計)統計表より)
また、日本を訪れる外国人観光客は、2015年は1,974万人、2011年から毎年増えています。2020年の東京オリンピックまで右肩上がりで増えると予想できます。(観光庁ホームページ、統計情報・白書より)
日本のテレビを見ていても、空港で観光客にインタビューしたり、外国人の行動を追ったりするテレビ番組や語学学習のテレビ番組が増えました。また、ハーフタレント、ハーフモデルと呼ばれるタレントを見かける機会も増えました。日本と海外の関わりは、たいへん活発になっています。
ここでは、外国人に「ん?」と思わせることもある、日本人独特のしゃべり方を紹介します。
■日本人は、「すいません」とよく言う
日本人は、「ありがとう」の意味で「すいません」を使うことがあります。
外国人は、「なぜ悪いことをしていない場面でも、すいませんと謝るのか?」と疑問に思うようです。
例えば、英語の場合。「ありがとう」と感謝の気持ちを伝える時には”Thank you”、「ごめんね」と謝罪の気持ちを伝える時には”I’m sorry”、人に依頼をするときには”Excuse me”と表現します。
英語は非常にわかりやすく、率直です。
なぜ日本人はいつもすいませんと言うの?という外国人から質問をされて以来、確かに日本人は「すいません」を多用していることに気づきました。
「ありがとう」と感謝の表現を使えばいい場面でも、「(世話をかけてしまって)すいません」と謝罪のフレーズを使ってしまう。良い言い方をすればへりくだりながら感謝の気持ちを伝えていますが、控えめすぎるようにも聞こえます。
もちろんこれらの英語のフレーズには、感謝・謝罪・依頼の意味だけではない使い方もあります。例えば会話の中で相手が悲しいことや辛いことがあった、と話せば相手からは「大変でしたね」の意味で”I’m sorry”と返ってくるでしょう。日本語の「すいません」と同じように英語でも、1つのフレーズが様々な意味を持つことはあります。
外国語学習の際には、感謝・謝罪・依頼のフレーズを正確に覚えて使い分けるために、日本語でも「ありがとう」「すいません」「申し訳ございません」と、言葉を正確に分けて話す癖をつけたいですね。
■日本語には、擬音語が多い
サラサラの髪をざぶざぶ洗い、ペタペタとトリートメントを塗って、ホカホカのタオルで包むと、すべすべの仕上がりになります。湿気でベタベタする夏の朝、ぐちゃぐちゃの部屋でだらだらしていたら、パジャマがしわしわになった。擬音語は、とても日本らしい言葉です。擬音語を多用した喋り方に慣れていると、外国語で表現するときに「どう表現すればいいのか?」と悩むことが出てきますよ。2つの例を挙げましょう。
1つ目の例は、自分の母国語以外の言葉を上手に喋れることを「ペラペラだ」と表現する言葉です。「Aちゃんは英語ペラペラだね」「彼はイタリア人だが日本語がペラペラだ」というように使いますね。日本人同士でこの表現を使えば、「外国語が上手なんだな」と理解できます。
実はこの言葉は、どの程度上手なのか、習得度のレベル感が含まれていません。使う人によって「ペラペラ」の度合いが違ってくる、難しい言葉なのです。日本語以外の言葉を一切使わない人にとっては、”Where are you from?””I’m from America.”、このやり取りを見ただけでも、「彼女はアメリカ人と話していた、英語がペラペラだ」と思うかもしれません。しかし、留学経験がある人や、帰国子女の人にとっては、この会話だけでは「英語がペラペラな人」とは思わないでしょう。
私の経験談をお話しします。「彼女は英語がペラペラだね」と伝えるために”Her English is so fluent.”と表現しました。その時に相手から帰ってきた言葉は、「彼女は非常に上手な英語を話すけど、くせがあるから、アメリカ人ではない。多分フランス人だと思う。”fluent”という言葉は、ネイティブと同じレベルで遜色なく上手いことを表現する言葉だから、彼女は英語が上手だけど”fluent”ではないよ」というものでした。日本人同士であれば、「彼女は英語がペラペラだね~」「そうだね~」で終わるような会話なのに、”fluent”の単語って難しいな~と思いました(笑)同時に、「ペラペラだ」という表現の便利さと独特さを理解しました。
2つ目の例は、教える側と教えられる側で使う擬音語です。
仕事場で上司に、「この書類、さっとまとめといて」と資料を渡される。結果、部下は部下が思う「さっとまとめる」のレベルで仕事をする。上司は上司の思う「さっとまとめる」のレベルで仕事が仕上がってくると考えている。結果、部下がまとめた書類を見て「俺の言ったことが全然できていない」。
夫婦で料理中に、奥さんが「お肉の両面にパッと塩コショウをかけておいて」と伝える。旦那さんは「このくらいかな?」と塩コショウをかける、結果、「これ、塩もちゃんとかけた?足りないんじゃないの?」。
この2つのシチュエーションは、よくある光景ではないでしょうか?
擬音語は便利ですが、あいまいで、お互いの理解度を正確に確認せずに使える危険な言葉でもあります。5W1H、という言葉を聞いたことがありますか?いつ(when)、どこで(where)、誰が(who)、何を(what)、どのように(how)、という単語の頭文字を取ったものです。擬音語からも分かるように、日本には5W1Hの話し方が出来ない人が多いために、5W1Hと言われ続けるのです。日本語をしゃべるときから、「この書類の要点を、A4の用紙1枚分でまとめて、今日の夕方までに提出して」「指で一つまみする程度の塩コショウをお肉の両面にかけておいて」、このように具体的に表現するように心がけると、日本語でも意思疎通がしやすくなりますよ。
■日本人は、同意を求める
「今日はすごく寒いよね」「このラーメンすごくおいしいよね」と、語尾を「~だよね」「~ね?」と丸めて、相手の同意を求めるしゃべり方は、老若男女問わず多くの日本人が使います。「今日はすごく寒い(とわたしは思うけどあなたもそう思う)よね?」「このラーメンすごくおいしい(と思うけどあなたもそう思う)よね?」と、相手に「そうですね」と言わせるかっこ( )の部分が隠れています。
これは、自分の意見を述べているのか?質問をしているのか?しかし質問ではないので、「はいそうですね」と答えるしかないのか?外国人には、非常に奇妙に聞こえるようです。
もちろん日本人の全員が全員そのようなしゃべり方をするわけではありませんが、人の会話を聞いていると、多くの人がこの表現を使っていることに気づきます。
英語にも同じような表現があり、語尾に”~,right?”と言うことが多いです。しかし日本人の「~ね?」ほどには多用しません。外国人は「今日は寒い」「このラーメンは美味しすぎて国に持って帰りたい」などと、自分の気持ちは相手に同意を求めずに表現します。
日本では、「~だよね?」と同意を求めるしゃべり方が一般的なために、「あなたはそう思うの?わたしはそうは思わないよ。わたしは〇〇だと思います」と、率直に反対の意見を言ったり、言われたりすることに慣れていません。そのため外国人から、日本人は静かだとか、自分の意見を言わないとか、”Yes”と言うけど本当にそう思っているのか?とも言われるのでしょう。日本のインターネット文化で良く起こる「炎上」も、実に日本人らしい習慣です。自分の意見や反対意見を言ったり言われたりする、議論しあう文化がないため、真逆の意見や、断定系で過剰に自分の意見を論じる人に対して非常に敏感に反応するのです。
外国人は、「今日はすごく寒いね」「そう?わたしはダウンコートで厚着してきたから暑いくらい。あなたのダウンコートもナイスね」という返答もよくあります。「このラーメンすごくおいしいよね」「あなたはどこがおいしいと思った?わたしはこの味噌ラーメンもおいしいと思うけど、とんこつラーメンも好きだな」と意見されることもよくあります。しかし別に、相手を否定しているわけではありません。あなたはそう思ったのね、私はこう思います。という会話なのです。
さいごに
日本語は美しいですし、外国語もまた美しいです。美しいですが独特な部分もあるため、その独特さを理解すると、外国人との会話や外国語の習得が楽になります。
外国語を勉強したり、外国に滞在したり、日本に住む外国人と会話をすると、ここで挙げた以上の、非常に多くの気づきを得られます。普段生活している場所から、ぐんと世界が広がりますよ。違いを楽しんで、勉強してください。
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