ドラマや映画、ファッションや音楽、金融や貿易など、様々な分野で世界をリードし続けてきたアメリカ。
アメリカに憧れてやまない日本人は跡を絶たず、ワールドアベニューでも毎年多くの方から、「将来はアメリカで暮らしたい」と移住を願うお問い合わせをいただきます。しかし、2001年のアメリカ同時多発テロや2008年のリーマン・ショック以降、社会情勢への懸念や長引く不況の影響を受け、アメリカへの移住は厳しさを増しています。
それでも、エベレスト並のハードルの高さ……ともいえる夢「アメリカ移住」を叶えたい! というあなたのために、具体的にどのようなことが厳しくて、解決するためにはどうしたらよいのか。10のポイントをご紹介します。
アメリカへの移住は甘くない!知っておきたい10の厳しい現実
1. 「旅行するアメリカ」と「生活するアメリカ」のギャップは激しい
まず、基本的なことではありますが、旅行ではなくいざ「生活」するとなると、かなり堪えてくることばかりであることを理解しておきましょう。移住当初によく聞こえてくる“想像とのギャップに悩む声”の一例は以下の通りです。
- ・日本のトイレはすごかった! アメリカのトイレでウォシュレットは諦めるべし
- ・これが普通なの!? アメリカの夜ご飯はピザとポップコーン
- ・NY以外は車がないと生きていけない!
- ・マジで銃社会! 死にたくなかったら夜の外出は絶対禁止
- ・アメリカでは言わなきゃ通じない! 以心伝心という言葉はない
- ・サインしたら最後! すべては自己責任。消費者センターなんて無いも同然!
- ・いくら挨拶だからって公衆の面前でやたらとキスやハグは焦る
- ・チップは常識。渡さない人は非常識!
- ・完全成果主義! 成果がでない人材は即日解雇あたりまえ
映画やドラマで憧れるステキな海外生活が必ずしも手に入るとは限らないという現実をしっかりと理解し、覚悟した上で踏み出しましょう。
2. 留学生活と社会生活は全然違うということを忘れるな!
移住のまえに、アメリカへの留学という選択をすでにされた方もいるでしょう。留学生活で享受したあふれる刺激と日々成長している自分自身への満足感を忘れられずに、アメリカへの移住を検討される方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、留学はあくまで学生としてアメリカを経験しただけであり、実際に社会の一員として働いたり、年金や税金を支払ったりするなかで、アメリカ社会の厳しさに触れたわけではないということを忘れてはいけません。
自身の留学経験だけで物事を判断せず、アメリカへの移住を決断するときには実際に移住している人の話やプロの留学カウンセラー、移民コンサルタントなどに相談するようにしましょう。
3. 家族も友達もいない「孤独」は予想以上に苦痛
旅行や留学とは異なり、移住生活に終わりはありません。
文化も習慣も異なる異国の地で、今後の人生を送っていかなければならないのです。
進学や就職、結婚や出産、離婚や再就職などのライフステージを、これまで当たり前のように支えてくれた母国の家族や友人がそばからいなくなるということには予想以上の苦痛が伴います。しかも、コミュニケーションは英語ですし、気軽に友達を作ったり会いにいったりしようにも交通手段は車のみ! 仕事がある人はまだいいですが、国際結婚などで永住権は取得できたものの、仕事はしていないし、車の運転もできない……なんてことになってしまうと、友達も家族もいないアメリカで、旦那を待ち続ける孤独な日々を送ることになってしまうかもしれません。
解決策としては、
- ・仕事がない状態の方は、なんとか仕事を見つけること
- ・日本の文化や習慣、あなた自身のことをきちんと理解してくれるパートナーや仲間を見つけること
- ・早めに車の免許を取り、車を購入すること
などでしょうか。
何よりも、どんな孤独をも乗り越える覚悟を持って進むこと。そして、ふさぎこんで引きこもってしまうことなく、何事も積極的に行動するというマインドが大切です。
4. 抽選で当たる!?移住に不可欠なビザ取得への道は険しい
滞在するための就労ビザや永住権がなければアメリカへの移住の夢は果たせません。
アメリカでの就労ビザや永住権の申請には以下のような方法があります。
- ・すでに親戚がアメリカに住んでいて、その人が保証人になってくれる
- ・実力を企業に認めさて雇わせる(学歴や職歴の要件あり)
- ・宝くじを当てつつ世界トップレベルのビジネスマンになる(100万ドルを投資して起業、10人以上のアメリカ人を雇用する)
- ・強運の持ち主になる(年1回行われる永住権抽選に当選する)
- ・国際結婚(永住権保持者と結婚する)
結婚相手と出会うのも、結婚相手が突如アメリカに異動になることも、宝くじが当たることも考えにくい。。。そうなると現実的な道は「現地企業に自らの力を証明して売り込む」という②でしょうか。そのためには、アメリカ人ではなく、外国人の自分自身をわざわざ雇わせるだけの特別なスキルや知識、経験が必要です。
例えば、IT関係、会計士、看護師、薬剤師などがよく就職しやすいと言われる職種です。他にも特殊な仕事でいうと、寿司職人や和紙職人なども可能性はあるかもしれません。ただし、ビザの規定上、「学士号以上を持ち、大学で専攻した専門知識・技術を必要とする分野で働くこと」などの厳しい条件もあるため、十分に注意しましょう。
5. アメリカの大学を卒業して就職を狙うためにはマンションが買えるほどの資金が必要
アメリカへの移住を目指す上で、現地の大学や大学院へ進学するという選択は非常に有効な手段となります。
なぜならば、アメリカの高等教育機関(短大以上)を卒業するとOPT(Optional Practical Training)という1~1.5年間ほどの就労(インターン)可能な制度に切り替えることができ、インターン後には企業と自分のニーズが噛み合えば、就労ビザの取得にもつながるためです。
しかし、ここで不安になるのがお金…。
仮に初級レベルの英語力の方が、アメリカの大学を卒業するまでに要する費用はどのくらいでしょうか。
アメリカ大使館の2013年度の統計によると下記の通りです。
―――――――――――――――――
私立大学:平均46,000ドル/年
州立大学:平均37,000ドル/年
コミュニティカレッジ(短大):平均16,000ドル~/年
―――――――――――――――――
例えば、「語学研修⇒カレッジ⇒大学編入」というコースを目指す場合は以下の通り、マンションが買えるほどの金額に達してしまうのです。
語学研修費用(半年間)…約150万円~
カレッジ 学費(2年間)…約160万円~/年×2年間=320万円~
大学 学費(2年間)…約400万円~/年×2年間=800万円~
航空券、保険、ビザ申請費など諸費用…約100万円
――――――――――――――――――――――――――
合計 約1,400万円~/4.5年間
※上記はあくまで目安となり、学費や生活費などは選ばれる学校や都市によって大きく異なります。
アメリカの留学の詳しい情報はこちらからご確認ください。
アメリカ留学を考えるときに確認したい基本知識
アメリカの留学費用は他の国と比べて高い?安い?
解決策としては、
- ・田舎に住むこと…生活費を安く抑えられます
- ・短大を経由して大学編入する…短大の学費は大学の学費の約半額になるため、2年間で約1年分の大学の学費を抑えられます
- ・できる限り、日本で英語力を伸ばしてから渡米すること…語学研修費用を抑えることができます
- ・奨学金を借りる…成績やスポーツなど、何かに秀でていると、留学生でも奨学金を借りられる可能性あり!
などになります。なお、日本では、近年のグローバル化の波にのって、奨学金や教育ローンなどの整備も進められています。返済の目処がつく職業を目指す場合には参考にしてみるとよいでしょう。
6. もはやギャンブル!?最適な移住先を自分で選ぶのは至難のワザ!
50の州や連邦国がひしめき合うアメリカ合衆国の中から、どの都市へ移住するのか。自分の力だけで最適な選択をするのは至難のワザと言えるでしょう。
例えば、アメリカといえば、ニューヨーク、ロサンゼルス、ハワイなどが最もメジャーで、日本人の数も求人数も多いです。カルチャーショックやホームシックに陥るリスクを考えて、理解し合える日本人が近くにいる点も悪くないかもしれません。ただし、日本人の少ない環境を選びたいという方にはあまりオススメできません。
最適な移住先を選ぶためには、まず自身の将来のライフプランを再構築することから始めましょう。将来の就職のことを第一に考えるならば、求人数が多いところがいいでしょう。将来の快適な暮らしを夢に描くならば、比較的治安がよく、暮らしやすいところがいいでしょう。
ただ、様々な条件が出てきて、何をどう優先して答えを出せばいいのかがわからなくなってしまうかもしれません。ましてや、50あるすべての州の知識を自分で調べるのも大変です。そんな時には、やはり留学カウンセラーなどの専門家のアドバイスを仰ぐようにしましょう。
7. 絶望的なアメリカでの就活事情!
2008年末のリーマン・ショック以降、アメリカの景気は低迷し、失業率が上昇するなどの大きな打撃を受けました。
そんな中、上記の(5)でも触れたように1,400万円も投じたにも関わらず、OPT終了後に結局就労ビザが下りずに帰国している学生がよく弊社の日本支店の採用面接にいらっしゃいます。
解決策は、シンプルです。
社会情勢や景気は今すぐどうこうできる問題ではありません。
つまり、自分の圧倒的な力で勝ち取るしかないのです。
- ・ビジネスレベルの英語力
- ・日本語やその他言語も生かせるバイリンガルマーケット(例え英語がビジネスレベルでも)での勝負
- ・アメリカ人と渡り合うことのできるスキルを持つこと
- ・何か一つの分野に対する、誰にも負けない情熱
- ・学生時代や仕事で築き上げた人脈
これらを軸にして、留学・就職活動に全力で取り組むことをおすすめします。
8. 就職できても弱肉強食の世界が待っている!
アメリカと日本とで最も大きく異なる仕事事情は、評価制度だと思います。
例えば皆さん、『Suits』というアメリカのドラマをご存知でしょうか。超イケメンの敏腕弁護士がバサバサと敵を打ちのめしていく痛快なドラマです。登場人物の一人である敏腕弁護士は、勝つためなら時に法律スレスレのことをやってのけて上司をハラハラさせます。日本だったら「仕事のやり方(過程)」におけるモラルなどを問われ、人事評価にも悪影響を与えそうなものですね。ただ、そのドラマの中では、あくまで「仕事の結果(成果)」が重視されるため、彼は会社から絶大な信頼を受けています。全米で大ヒットしたドラマであり、多くの視聴者からの共感を得たことからも考えると、日本がプロセス重視なのに対してアメリカは徹底した成果主義が常識だということがわかります。
つまり、どんなにいい企画を打ち出しても、どんなに美しい精神を持って人助けをしたとしても、それが結果や利益につながらなければ、1mmも評価されないということです。一方で、結果さえ出していれば遅刻しようが、雑務を手伝わなかろうが、関係ないのです。私たち日本人の概念をことごとく打ち破ってくれるこの制度のギャップは、アナタの仕事のモチベーション管理にも大きく影響するでしょう。
実際、アメリカへ移住した人たちのブログを見ていると、自分自身に自信をなくして打ちひしがれている様子を多く目にします。アメリカという国の評価体制を十分に理解した上で、仕事に取り組むことをオススメします。
アメリカ留学に関する情報はこちら
9. 複雑すぎて理解しにくい!保険・年金・税金事情
日本の公的年金制度は、社会保障だけでなく「社会福祉」の機能も併せ持っているため、保険料の免除制度や、国庫負担により収入がない人でも将来の年金が確保できる仕組みとなっています。対して、アメリカの公的年金制度はあくまでも社会保障なので、「働く人」を対象としており、報酬に応じた保険料を納め、納めた保険料に応じた年金を受け取る仕組みです。
アメリカでは退職後の所得を、公的年金だけでなく、企業年金などの「職域年金」、私的に準備した「個人年金・貯蓄」の「三本脚の椅子」で支えるという考え方が一般的で、老後の収入の中心を公的年金とする日本とは考え方に違いがあります。
また、健康保険に関しても、2014年1月1日からオバマケアでの保険適用が始まったばかり。それまでは、日本のように皆保険制度ではなく、就職していて一定の掛け金(比較的高額)を支払える人のみが保険に加入することができました。
つまり、日本よりも国が守ってくれるという意識は低いということです。これに関しては根本的な解決策があるわけではありませんが、知らなかったせいで不利になることも多々ある年金や保険制度のギャップもよく理解してから、飛び立たれることをおすすめします。
10. 英語だけでは役不足!アメリカの言語事情
人種のるつぼと呼ばれる通り、アメリカには様々な人種や国籍の人々が暮らしています。その結果、公用語も英語、第一言語も英語ではあるものの、2013年米国国勢調査局の統計では、英語のみを家庭で使う割合はニューヨークで52.5%、サンフランシスコでは55.8%、ロスにいたっては39.5%となり、いかに多くのネイティブが英語以外の言語を日常生活で用いているかがわかります。
アメリカで英語の次に多く使われている言語はスペイン語、その次は中国語です。上記の(7)でも触れていますが、これらの言語を英語と併せて習得しておくと、特にアジア人やヒスパニック系の移民が多いカリフォルニア州などでの就職には有利になるといえるでしょう。
ただ、言語の習得は一朝一夕になし得るものではなく、高い壁を感じてしまうと思います。やはり、魔法のような特効薬もありません。
解決策は、段階を追って、まずは英語からしっかりと習得していくことです。第二言語が多く使用されているというものの、公用語は英語ですので、英語を習得した上で、スペイン人や中国人に英語でスペイン語や中国語を教えてもらい、自分のものにできれば理想的ですね。
さいごに:アメリカ以外の選択肢も考えてみることを忘れずに!
アメリカへ移住することが予想よりも大変だということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
そこでアナタに質問です。
アメリカへ移住したいと考えはじめたとき、そのキッカケや理由はどんなところにありましたか?
例えば、
- ・仕事が多忙すぎて、もっとプライベートと仕事を両立したいと感じた
- ・ハーフの子供が欲しかった
- ・おしゃれな町並みや青いビーチのもとで生活したかった…
などなど、色々な事情があるかとは思います。
ただ、それはもしかしたらアメリカでなければ叶わない夢や目標ではないかもしれません。世界は広く、不況の続くアメリカよりももっと好条件で移住できる可能性が高い国はあります。ご興味をお持ちの方は、ワールドアベニューの留学カウンセリングにぜひお立ち寄りくださいね。
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