海外に行く一つの楽しみは、食事ではないでしょうか。その国独自の料理を堪能し、楽しい時を過ごし、いざお会計。クレジットカードで支払い、レシートを見ると、「tip」の欄が……。
そう、日本と海外の大きな違いの一つが、この「チップ制度」です。日本人が海外に行くと、必ず戸惑うとも言われています。現金で支払った場合には、ついチップを置いていくことを忘れ、嫌な目で見られることも。
そもそもチップはなんのために支払うのでしょうか。
いつ、どのくらい支払うべきなのでしょうか。
チップ大国アメリカのケースを中心に、チップの支払い方法をシーン別にご紹介します。
まずはチップの払い方を知ろう!
チップの払い方(現金)
チップは多額になることはめったにありません。たとえば、ホテルなどでカバンを運んでもらったベルマンには、1ドルほどのチップを手渡します。なお、お札は三つ折りにするなどして渡すようにしましょう。
レストランの場合はテーブル会計が多いため、伝票ホルダーに2-3ドルのチップを挟んでテーブルに置いて帰ります。その際は折りたたむ必要はありません。
チップの払い方(クレジットカード)
クレジットカードでの支払いが済むと、店員さんが「レシート2枚」とクレジットカードを伝票ホルダーに挟んで返してくれます。1枚はお客さん用で、もう1枚はお店用です。
お店用のレシートにはサインをする欄があり、金額を確認の上、サインを書くのですが、さらに“tip”と書かれた欄もあります。そこにチップ費用を記載し、料金と合計した金額を記入した上で店員さんに渡すのです。後日、食事の合計金額とチップ代がクレジットカードから差し引かれることになります。
チップもクレジットカードで支払えるなんて、工夫されていますね。もちろん、クレジットカードで支払いつつもチップは現金で、ということも可能です。
チップの払い方で注意すべきこと
レシートに“Gratuity”との記載がある場合は、 チップを置き忘れる人が多い店で、店側の配慮により、チップがすでに費用に含まれていることを意味しています。さらに支払う必要はないので、二重に支払わないように注意しましょう。
この“Gratuity”とは、「心づけ、祝儀、チップ」という意味で、チップの別名です。アメリカではチップを“tip”、 “service charge”、 “gratuity”と様々な表現で呼びます。
“include(含む)”という英単語も覚えておくとよいでしょう。チップが含まれている場合は、“Tip is included”、含まれていない場合は、“Tip is not included”とレシートに記載されていることもあります。
アメリカでチップをどう渡す?よくあるシーン別10選
チップとは、サービスを施してくれた方に対するお礼の気持ちです。ある程度の目安パーセンテージはあるものの、あくまで気持ちの度合いを示すものなので、良きサービスを受けたと思ったらチップを弾むこともしばしば。
たまに、海外の映画俳優がよいサービスに対して多額のチップを弾んだ、というゴシップが出回っているのを聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。ただ、反対にあまり良くないサービスを受けたと感じた場合には、チップを全く置かないこともあります。
それでは、具体的にどのようにチップを支払うのでしょうか。
アメリカ人に聞いてみました。
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1. 【タクシー】総額の15-20%が相場
2. 【レストラン・バー】テーブル担当へ総額の15-20%
3. 【ホテル】高級・リゾートホテルでのみ支払い
4. 【駐車場】1-5ドル、【ベルマン】1-3ドルを手渡しで支払い
5. 【美容院、サロン】料金支払いの際に総額の15-20%を支払い
6. 【デリバリーサービス】宅配便の配達員には支払い不要
7. 【ツアーガイド】ツアーの終わりに感謝の意を込めて5-15ドル
8. 【カジノディーラー】相場はなし!勝った分だけチップを弾む
9. 【ストリップクラブ】服や下着に挟んだり、ステージに投げ込んだり!
10. 【お礼のチップ】とにかく何かをしてもらった時のお礼
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【タクシー】総額の15-20%が相場
ニューヨークと言えば、タイムズスクエア、自由の女神、そして必ず風景に移りこむ黄色い車。イエローキャブと呼ばれる、タクシーです。
地下鉄が縦横無尽に敷かれているニューヨークですが、満員電車が嫌な人や少し遠い距離を移動する方はイエローキャブを利用します。ニューヨーク以外でも車社会のアメリカでは、タクシーはよく使われるのです。
初乗り運賃は、州により異なりますが2.50-3.50ドルほどで、日本と比較すると安め。ただ、目的地まで運んでもらったら、タクシードライバーには運賃と併せてチップの支払いが必要です。
チップは総額の15-20%が目安。つまりタクシー代が10ドルの場合、チップは1-2ドルとなります。もし、チップを含めた金額が8ドルだったとして、10ドル札で支払いたい場合には、“Could I have 2 dollar change? (2ドルのお釣りを下さい)”と言えば大丈夫です。
【レストラン・バー】テーブル担当へ総額の15-20%
海外のレストランは基本テーブル担当制です。料理の説明も、水を注ぐのも、料理を運ぶのも一人のウェイトレス/ウェイターが行ってくれます。
食事が済んだら、“Check(またはbill), please”、 “Could I have the check(bill)?”と声をかけましょう。ウェイトレス/ウェイターが伝票を持ってきてくれたら、上述した「チップの払い方(現金/クレジットカード)」の通り、支払いを行いましょう。
レストランでのチップの額はタクシー同様、総額の15-20%が相場です。つまり15ドル相当の食事に対し2-3ドルの支払いとなります。ただし、ランチの際は、10-15%が相場です。
バーも同様で、総額の15-20%が相場です。ただし、1杯ごとにお会計を行うスタイルのバーでは、1杯につきおよそ1-2ドルを支払いましょう。なお、ファストフード店など、先にお会計を行うお店ではチップを支払う必要はありません。
【ホテル】高級・リゾートホテルでのみ支払い
ホテルを出る際や朝方にはキーパーに対してチップを置くという話を聞いたことがあるかもしれませんが、実はホテルの部屋にチップを置くのは日本人くらいとのこと。アメリカ人曰く、高級ホテルやリゾートホテル以外ではチップを置くことはあまりないそうです。
ただ、キーパーに対し、感謝の気持ちを持った場合には、1ドルをナイトテーブルの上に置いて部屋を去りましょう。また、ルームサービスに対しては、デリバリーをしてくれた人に対し、1-2ドルほどのチップを支払います。フロント係などには支払う必要はありません。
【駐車場】1-5ドル、【ベルマン】1-3ドルを手渡しで支払い
車寄せで車を引き取り、駐車場まで運転してくれる駐車場係にも1-5ドルのチップを支払いましょう。アメリカのホテルやレストランでは、通常の駐車場とValet Parking(バレットパーキング)と呼ばれる駐車場係のいる駐車場があり、バレットパーキングでは車を引きとる際に係へチップを支払います。
また、ホテルのドアマンやベルマンにも、荷物を運んでくれたお礼としてチップを支払います。通常荷物一つにつき、約1-3ドルです。上述した通り、お札を折りたたんで渡しましょう。
【美容院、サロン】料金支払いの際に総額の15-20%を支払う
美容院やマッサージなどの美容サービスを受けた場合には、担当してくれた方に対し、総額の15-20%のチップを料金支払い時に渡します。払い方はレストランと同様です。
【デリバリーサービス】宅配便の配達員には支払い不要
ピザなどのフードデリバリーをしてくれた配達員に対し、総額の10-15%ほどのチップを支払います。労いの意味を込めて、チップを渡しましょう。ただし、宅配便の配達員には支払いません。
【ツアーガイド】ツアーの終わりに感謝の意を込めて5-15ドル
ショートトリップにツアーガイドは必須ですよね。国立公園の多いアメリカでは、専用のツアーガイドなどもいます。車の運転までしてくれるガイドもいますよ。
1日の終わりには、お礼の意味を込めてチップを渡しましょう。相場は5-15ドルですが、感謝の度合いにあわせて金額を決めてください。
【カジノディーラー】相場はなし!勝った分だけチップを弾む
サービス業の最高峰ラスベガス。そして、ラスベガスといえばカジノです。
カジノにはディーラーが欠かせません。カジノで大当たりが出たら、お礼の気持ちを込めてディーラーへチップを渡す人も。当たった分を換金して現金で渡す、もしくは次のターンで多めに賭け、ディーラーのチップとする方法があります。
ただ、チップを個別にディーラーへ渡すと、より多くくれる人にディーラーが愛想をふりまくなどの不正行為のもととなる可能性があるため、チップは一度まとめて集められ、ディーラー全員で山分けされるそうです。
【ストリップクラブ】服や下着に挟んだり、ステージに投げ込んだり!
ストリップクラブやダンサーに対しても素敵なショーのお礼にチップを払います。よくドラマや映画で見かけるかと思いますが、服や下着にチップを挟んで渡したり、ステージに投げ込んだりするのが外国流です。相場は1ドルほど。
また、ラップダンスなど、自分のために踊ってくれる場合には30ドルほどのチップを弾むこともあります。30ドルのチップで1曲自分のために踊ってくれるとあれば、惜しくはないですよね?
【お礼のチップ】とにかく何かをしてもらったら支払うお礼のチップ
上述したシーンに限らず、何かをしてもらったらお礼の意味を込めてチップを支払うこともあります。たとえば、自分のために車を運転してもらった時には1-2ドルのチップが相場です。他にも、バーなどで自分のために演奏をしてもらった時や、絵を書いてもらった時などは、5-10ドルのチップが相場。シチュエーションや感謝の度合いに合わせて、お礼の気持ちを価格に上乗せします。
さいごに
チップは感謝の気持ちです。
たしかに、お金で感謝の気持ちを表すことは簡単ではありません。
ただ、アメリカのサービス業界は、チップが支払われることを前提としているため、従業員は低い給料で働いています。チップで給料の多くを賄っているのが現状なのです。チップはもはや「感謝の気持ち」ではなく、店員さんにとっては「給料の一部」。それを忘れずに支払ってあげてください。アメリカ人が、「チップでチープ(ケチ)になるな」と言っていましたが、チップも料金として考えることをおすすめします。
もしかしたら、アメリカでチップ制度に基づくサービスを目の当たりにした際、日本のサービスの質の良さをひしひしと感じるかもしれません。ぜひ海外留学で、文化の違いに触れてみてくださいね。
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