英語の勉強法

イギリスの作家、ロアルド・ダールは1916年9月13日生まれということで、1990年に74歳で亡くなっているのですが、今年2016年の9月で、生誕100周年を迎えました。
日本でも「チャーリーとチョコレート工場」などの映画の原作としてロアルド・ダールの本は知られていたと思いますが、本国のイギリスではダールの本は常にベストセラーの児童文庫で、学校でも教材として使用されています。
1960年代ごろから常に世界中の子供たちに読み続けられているロアルド・ダールの本の魅力を紹介してみようと思います。

ロアルド・ダールとはどんな人物だったのか

ロアルド・ダールという珍しい名前は、両親がノルウェー人でイギリスにノルウェーからの移民として暮らしていたからです。ダールがまだ幼いころにノルウェー人の父親が肺炎で亡くなってしまったものの、ダールの母親はノルウェーに帰って家族とともに暮らすより、夫の希望であった、子供たちに世界一だといわれていたイギリスの教育を受けさせるためにイギリスに残ることにしたのでした。
その後全寮制の寄宿学校に入学するのですが、学校の厳しさや先輩たちからのいじめなどで全く楽しい学校生活ではありませんでした。しかしこの時期の経験がのちの児童文庫のなかでも多く引用されることになります。
ダールはノルウェー人なだけに背が高く、198センチの長身でした。その長身を生かして学生時代はスポーツにも熱中していました。そして文学はもちろん、写真にも興味を持って常にカメラを抱えていたということです。
1940年に入ると第二次世界大戦に向けてイギリス空軍で飛行訓練を受けたのち、大戦中はパイロットとして活躍しました。
戦争中の負傷による痛みに悩まされながらも戦後は執筆活動に励み、数々の児童文学本とともに大人向けのちょっとダークで面白い作品も出版しています。
74歳で1990年に骨髄異形成症候群という血液の病気で亡くなりましたが、死後も彼の意志は受け継がれ、医学の分野や、子供たちのためのチャリティー団体の活動はそのまま続けられています。

ロアルド・ダールの特におすすめの3冊

ロアルド・ダール全集を娘がプレゼントで頂いたことから、娘二人とも楽しく読んでいて、私にも面白いから読んでみるようにと言われたのがこの3冊ですが、確かにまず読みやすく、ストーリーが身近で共感できることでありながらワクワクするような展開でやめられなくなる感じです。
英語学習中の方たちも、中級レベルなら少し単語もチェックしながら、上級の方なら息抜きとしてや、クスっと笑える言い回しを楽しみながら読んでいけると思います。

ロアルド・ダールのおすすめ本① Matilda

5歳の天才少女のマティルダちゃんが主人公なので、お子さんが読む場合はそのままマティルダちゃんの大活躍を楽しみながら読んでいくと思いますが、大人が読む場合でも、マティルダちゃんの無関心で意地悪な両親や、恐ろしく残酷な校長先生などの大人のキャラクター達の面白さ、昔の学校生活を懐かしく思い出す、などとまた違った面から味わうことができます。
天才少女のマティルダちゃんは、5歳にもなってないうちから町の図書館にある本を読みつくしていて、小学校の担任の先生にこんなことを言っています。
‘I think Mr C.S. Lewis is a very good writer. But he has one failing. There are no funny bits in his books.’
「CSルイス(ナルニア国物語)はとてもいい作家だと思います。でも一つ欠点がありますね。彼の本には笑えるところがないんですよ。」
これはロアルド・ダール自身の信念だと思いますが、本は読んで面白いものであるべきである、というのが根底にあることが長年にわたって人気を保ち続けている理由なようです。
さらにマティルダちゃんと担任のハニー先生は、とても上品で正しいイギリス英語を話しているので二人のやり取りは英文としてもお手本になるものばかりです。イギリスの小学校では3年生くらいのときに授業で利用されています。

ロアルド・ダールのおすすめ本② The Witches

7歳の男の子が主人公で、ノルウェー人の両親を交通事故で失い、おばあちゃんとノルウェーで暮らし始めることに。。と悲劇的なオープニングにも関わらず、相変わらず突拍子もないストーリー展開でお決まりの笑いも散りばめてあり、魔女というちょっと怖いテーマなことからさらに子供たちが夢中になる要素満載で、読み始めると止まらなくなります。
ロアルド・ダールの両親はノルウェー人でイギリスに移民してきていたことから、自伝的な要素もあり、ダールはこうして小さい時から面白いことを常に考えている想像力豊かな子供だったんだろうな、ということがうかがえます。
魔女たちがイギリスの子供たちを一斉駆除するために魔法の薬を調合しますが、Formula 86 Delayed Action Mouse-Maker(フォーミュラ86 時間差効果 ネズミ化薬)という名前自体が面白く、さらに成分としていろいろ変なものが登場します。
A gruntle’s egg(グラントルの卵)、the claw of a crabcruncher(カニツブシの爪)、the snout of a grobblesquirt(グロブルスクワートの鼻)、the tongue of a catspringer(キャットストリンガーの舌)など、何なんだ??という面白い造語がたくさん出てきます。こうした言葉遊びも子供たちが好きなことですし、英語の面白いところでもあります。

ロアルド・ダールのおすすめ本③ The BFG

 

孤児院で暮らす8歳のソフィーはある晩巨人を目撃したためにさらわれ、世界の果ての巨人の国まで連れていかれてしまいます。しかしすぐにそのジャイアントが優しくフレンドリーなことがわかったため、ソフィーは彼をBFG(ビッグ・フレンドリー・ジャイアント)と呼ぶことになります。
BFG以外の巨人国の巨人たちは、みんな野蛮で世界中の子供たちを誘拐しては食べているというまたちょっとおもしろ怖いストーリーに、ソフィーとBFGの友情物語、その上イギリス女王様まで登場してくるという一大スペクタクルです。
BFGがちゃんと学校で教育を受けていなかったために話す英語が少しおかしい、ということでいつも言い間違いをするのですが、それがまたかわいらしく子供たちも楽しむポイントでもあります。
Human beings (人間)のことをhuman beans (人間マメ)と間違ったり、独自の単語も続々でてきます。
Frobscottleという綺麗な色の炭酸飲料水がBFGの大好物なのですが、それを飲むとhopscotchyな気分になる、ということで、cheerfulという意味のダール語(BFG語)です。
その他もwhoppsy-whiffling (great), delumptious (delicious),など、聞いているだけでも楽しくなるような単語が満載です。

芝居や映画でもダールの世界は広がる

「マティルダ」は、ロンドンのウェストエンドで大人気のミュージカルです。休暇中のお楽しみやバースデープレゼントなどで特別に子供のために一緒に観に行ったというお母さんたちが、実際観てみると自分もものすごく感動した、今まで観たミュージカルで一番かも、という話をよく聞きます。もちろん子供たちも大喜びなのは言うまでもありません。
ロンドンまで芝居を観に行くのは大変ですが、今年名監督のスティーブン・スピルバーグが映画化したBFGはぜひお勧めしたいです。イマジネーションを大切にし、いつまでも子供の心を持ち続けるダールの本にスピルバーグも影響を受けた一人です。
DVDで映画自体を満喫したあとは、繰り返しBFGとソフィーの会話をきいて楽しむこともできます。本の中に出てくるクイーンと、映画でのクイーンのエピソードが少し違うところも面白いところです。

最後に

イギリスではロアルド・ダールのことを知らない人はいないくらい有名な作家であるとはいえ、偉大な作家というよりも、みんなに親しまれ、愛され続けている人気者という感じです。
彼の残してくれた楽しい本の数々は今後もずっと世界中で読み続けられるでしょうし、私たち日本人も、彼の本を英語学習に楽しく利用することができると同時に、ダールの遺産である、マジックを信じる心、人と違っててもみんながそれぞれスペシャルだということ、などに励まされるのではないでしょうか。

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